「その悩み、哲学者がすでに答えを出しています Kindle版」を読む

「その悩み、哲学者がすでに答えを出しています Kindle版」(小林昌平・著、2018年)を読みました。

紀元前のエジプトのパピルスやメソポタミアの楔形文字が刻まれた粘土板の解読から浮かび上がる庶民の悩みは現代の私たちと同じ「仕事、健康、家庭、お金」だった…。
誰もが抱える悩みに、哲学者たちは我々に何を教えてくれるのか。

一つの悩みに一人の哲学者の名言と人生を紹介しながら数ページで解説され、平易な文章でとても読みやすいです。

脚注も充実していて、巻末には原典も紹介されており、哲学の入門書として至れり尽くせりの構成です。

もちろん一人の哲学者の業績を大きな活字数ページにまとめられる訳ではないでしょうが、「この哲学者、名前は教科書で知ったけど、つまりどんなことを言った人なの?」と手っ取り早く知りたい、雑学的知識欲を適度に満たしてくれる良書かと思います。

とはいうものの、一番最初のアリストテレスの項目で述べられているように、おおむね「やるだけやったら、次がある。他人は関係ない、自分の人生を生きよ」という身も蓋もない結論が多かったような…いや、もちろんそれはそれで大切なことですけども。

会社を辞めて実家に越してきて一番困るのは、話し相手が父しかいないこと。実家は生まれ育った場所ではないので、友人知人がおらず、孤独感に苛まれることもしばしば。

新しい職場など何かコミュニティに飛び込まなければいけないかな、と悩んでいた私に、ショーペンハウアー「幸福について」第5章の一節、「孤独に耐えられない、寂しいからといって、他人と一緒にいたってろくなことはない」が最高にウケました。

それこそ小学生の頃から、無理に人の輪に飛び込んでは打ちのめされる連続でしたから。
人間関係の「出遅れ感」にはずっと悩まされてきました。

ただ、ドゥルーズが「逃走の線を引け」と言うがごとく、例えば職場以外の人間関係など逃げ道は確保しておかないと…結局生きていく上で人の輪からは逃れられないってことですかね。

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