牛肉の切り落とし
毎週日曜日の昼は父のリクエストですき焼きです。
アゴの力が弱まっている父は、肉の硬さに神経質。
私にしてみればなんてことない硬さなので、買い物当番の私としては文句を言われると非常に腹が立ちます。
「安い肉を買ってきているのだろう」と嫌味を言うので、ならば自分で買ってこい!と父に買いに行かせたこともあります。
一番高いロースのスライス肉を父自身が調理しても、満足がいかず、父は大層落胆していました。
さすがに気の毒になり、しばらくはしゃぶしゃぶ肉に切り替えたところ、「確かに食べるのは楽だが、物足りない」などとまた私の怒りを買う発言。
かつてはジップロックに砂糖と共に封入したり、包丁の背で肉を叩いて下ごしらえをしたこともありましたが不評でした。
そんなことを思い出しながら食肉売り場に行くと、たまたまロースのスライス肉がありませんでした。
食肉売り場の品揃えは毎日一定していないので、特に驚きはしませんでしたが、さて困った。
そこで目に入ったのが、牛肉の「切り落とし肉」。
2,980円の一番高いロースと同じケースで1,980円なので、お買い得と言えばお買い得。
ダメ元で買って帰ると、意外や意外、父は「まあまあイケる」とのこと。
これまで4回ほど続けていますが、ダメ出しはありません。
おそらく一番高いロースの切れっ端だからでしょう。
ロースは面積が大きいので、食べにくさから「硬さ」を感じたのかもしれません。
薄いしゃぶしゃぶ肉よりは程よい歯応え、食べ応えがあったということなのでしょう。
まさに災い転じて福となす。
ちなみに私はすき焼きは作りますが、食べるのは好きではないので食べません。