父との食事の思い出

水曜日恒例、いきなりステーキでランチ。
父は200グラムのハンバーグ、私は280グラムのリブロース、ともにスープ・ご飯付きのランチセットで。
私が早食いなので、父は「急かされているようで嫌だ」などと文句を言います。
早食いの原因の一端は父にあるはずなんだがな、と私はため息をつきます。
父は某保険会社の支店長を長く勤めました。
支店はおおむね1階が駐車場、2階は支店で3階が支店長一家の社宅という構造でした。
保険勧誘員は歩合制ですから契約が取れれば休日夜間関係なく社宅の電話が鳴り響きます。
たまに無理を言って父に家族サービスをねだって外食しても、「部員から電話がかかってくるからすぐ帰るぞ。早く食え」とせかされ、日常の食事でも父は常に成績を気にしてイライラして、父との食事はとても嫌なものでした。
できるだけ早く食事を済ませるクセが自然とつきました。
父が2階の職場から引き上げてくるのが遅いとホッとしたものでした。
父にそんな思い出話をしてみましたが、「そうだったっけ?」とトボけているのか本気で忘れたのか、父は苦笑を浮かべるのみでした。
ま、今更そんな昔のことを持ち出して恨みを晴らそうなんて気はありませんけど。
父が付け合わせのコーンをぽろぽろこぼしながら口に運ぶのを、さっさと食べ終わった私はお冷やを飲みながらぼんやり見つめていました。

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